お肉はたんぱく質がほとんど。アミノ酸の鎖で出来ているたんぱく質は実は無味無臭。アミノ酸に分解されて初めて「旨い」を感じる。その旨さを引き出す技術が熟成だ。
当社は帯広畜産大学と、肉が、どんな温度、湿度、風速、の環境に何日置き、どのカビがどのくらい増えると、どんなふうに旨くなるのか、の共同研究を行い、畜種、大きさ等の条件を鑑み、理想の熟成を施す技術があります。
そして、当社のお取引先様であれば、『無料』でご購入いただいたブロック肉を最適に熟成します。それは当社にとっても貴重な経験になるので、どうか遠慮なくお申し付けください。
我々が考える「熟成肉」とは、そのまま食べても美味しい肉に、時間をかけてお手当をすることで、 その肉をちょっと贅沢に、美味しく加工したものです。チーズがカビの力で熟成していくように、 熟成肉もカビの力を借りて味や風味が変化していきます。ただ寝かせるのではなく、ドライエイジングという方法を用い、 肉を加工してくれるカビたちとどう付き合っていくかが重要なのです。
ひと口噛むと、口の中から鼻に抜けるナッツのような香ばしい香り。
それから、ゆっくりと舌の上に広がる旨味。
熟成肉で大事なのは、この香りと旨味だと考えます。これを生み出すまでのお手当の仕方がポイントです。
そのためには、前述したようにカビの力を借ります。カビが周りにつき、肉の中のたんぱく質がアミノ酸に変化し、うまみ成分が生まれます。
ただ、アミノ酸が増えれば美味しくなるかといえば、そうではありません。アミノ酸の中にもうまみ、甘み、苦みの3種類があり、
熟成の度合いやタイミングで苦みが強く出てしまうケースもあるのです。
熟成の度合いで違いがあります。香りを強めにしたい場合は、30日から40日ほどの熟成期間を要しますし、軽い香りであれば20日前後ほど熟成すれば十分です。
当社は、2018年から社内にドライエイジングの専用熟成庫を設置し、試行錯誤を繰り返しながら熟成肉の研究と開発に取り組んできました。
最初は世に出ている熟成肉の教科書や説明通りに庫内環境を整えましたが、なかなかその通りにはいきませんでした。
一度は大事なカビが全滅したり、肉がカラカラに乾燥してしまったこともありました。熟成肉の味や香りについてももっと経験値を上げなければならないと、
全国各地にある熟成肉で評判の店へもたびたび足を運びました。
現在は、帯広畜産大学と共同で研究も進め、
科学的に熟成肉について解明し、熟成肉を安定に製造できるように取り組んでいます。
では、北一ミートで熟成肉を製造販売しているのか?と尋ねられるかもしれませんが、当社で製造販売は行いません。
当社の熟成肉の研究は、あくまでお取り引きさせていただいているお客さまの「熟成肉を作りたい」という声に応えるべくはじめたサービスの一つです。
お買い上げいただいた大事な肉をお客さまの要望に応じて熟成するお手伝いをさせていただくだけなのです。
軽め、深め、味わい、香りなど、お客さまの希望に応えられるよう熟成期間を調整し、それぞれの「オリジナル熟成肉」を一緒に作っていければと考えています。
我々には、北海道の畜産業界を盛り上げていくという使命があります。
そのためにも、肉のスペシャリストとして、皆さんに頼られる肉屋でありたいと思っています。
今後も、お客さまと二人三脚で、本当に美味しい熟成肉を多くの方に知ってもらい、食べてもらいたいと願っています。
ですから、熟成肉の作り方を隠すつもりはありません。逆に北一スタイルの作り方が全国はもとより世界中に広がっていけばと考えています。